●写真芸術学
写真発明の初期から今日に至る表現上の問題について、その歴史的経過の分析を通じて写真がもつ本来的な性格を探る。それを通じ、各人の未来への志向に対して個性的な対応が展開できるような基盤を築くことを目指す。
写真芸術学はすぐに役に立つような知識を学ぶためのものではなく、写真芸術の本質的な問題について考えてみる場です。写真を撮るばかりではなく、常にこのようなことを考えることによって、写真に対する理解を深め、将来写真に対して多元的で、主体的なアプローチができるような土台を築くためのものです。到達目標:写真発明の初期から今日に至る表現上の問題について、その歴史的通過の分析を通じて写真が持つ本来的な性格を探ります。それを通じ、各人の未来への志向に対して個性的な対応が展開できるような基盤を築くことを目指します。
●写真基礎演習
写真の基礎的技術と理論を学びます。 1年次から3年次まで年次に合わせて知識や技術を深めていきます。
デジタル一眼レフカメラによる撮影とデジタルプリント作業を行い、本格的な「写真」の研究と制作活動をするために必要な基本的知識と技術を習得し、「写真」についての意識を高めることを目標とします。
作品制作の指導やスタジオでのライティング技術の修得をめざします。
写真基礎演習I・IIを踏まえ各自の志向に合わせて専門の教員のクラスを選択し、それぞれの表現を発展させる。各自の興味と将来を見据えて選択できます。
●ゼミナール
一人ひとりの将来の方向を見据えた個人指導を中心に、専門的かつ実践的な理論・制作の演習が行われ「卒業制作」や「卒業論文」にまとめていきます。ゼミナールは15の専門のクラスから自分の表現傾向と将来の志向に合わせて選択します。
【クラスのテーマ】
●写真色彩学
色彩の諸現象を理解し、ビジュアル表現に応用し、目的に適ったビジュアル表現が色彩の使用によって達成できることを目標とします。
色彩は写真などのビジュアル表現にとっては必要不可欠の構成要素です。色彩は様々な学問領域で研究の対象となっていますが、表現活動ではこれらの研究成果が色々な局面で活用されてきています。本講座は各領域の研究成果を幅広く紹介し、色彩に関する造形的な見識を深めることが目的であり、各テーマを造形表現への応用に関連づけて理解することが目標となります。
●写真作家作品研究
写真が誕生してから現在にいたるまでで生み出された名作をもとに、それらの作品やその写真家たちが社会や他の芸術からどのような影響を受けたか、また与えたかを考察する。
1839年の写真術公表前後から近代写真の成立(1930年頃)までを対象期間として、その間の写真家と写真作品について考察する。 授業では、写真術の発明が同時多発的に世界中で行われていたことを理解し、発明者たちの研究起因や問題解決方法を知る。また、写真術発明以降、どのように写真の可能性が広げられ深化してきたかを紹介する。
近代写真とは何かを考察する。近代写真に関する基礎的知識を身につけ、それらを自己の作品制作にいかして頂く事が目標である。 1900年頃から1960年頃までの近代写真と呼ばれる時代の作品とその写真家を取り上げる。それらが社会や他の芸術に、どのような影響を与えたか、また受けたか、そして写真史の中で、何故、今日まで残ってきたのかを写真を紹介しながら解説する。
現代写真表現の考察。 現代の写真表現における主要な作家・作品や傾向等の現状についての知識、及びレポート作成を通した初歩的な作品表現やコンセプト分析と資料調査の方法論の修得を目標とする。
●写真技術
銀塩モノクロプリント、ファインプリント、特殊技法、サイエンスフォト、プレゼンテーションなどの実習科目として開講しています。
講義と実習を通した銀塩黒白写真の基礎知識の習得、フィルムカメラの原理の理解、撮影状況に合わせた適切な撮影とフィルム現像・プリント
制作を理解し、銀塩黒白写真の階調再現ができることを目指します。
アンセル・アダムス等によって発展してきた黒白写真表現のオーソドックスな伝統を振り返りながら、完璧を目指したプリントを制作するという情熱を持って、今日的視点で自己表現の可能性を追求し、各種コンテスト等で作品発表ができるレベルを目標とします。
写真画像作品を制作するための基礎的な技術の学習とその応用を考えます。
「写真」は撮ることから始まり、現像(画像加工)し、プリントに仕上げますが、その後のプレゼンテーションについてはなかなか実践できていないのではないでしょうか。まず、歴史的な写真や作家の写真(オリジナルプリント)を観ることから始めて、自分の作品を魅せることを実習で身につけましょう。 実際に美術館で行われている「マッティング=展示と保存方法」を実践的に学びながら、一枚の写真を作品として完成させ、それらを展示や発表すること「プレゼンテーション」の大切さを再考します。
●写真表現
広告写真、報道写真、ポートレート、建築写真、DSLRムービーなどの実習科目で構成しています。
広告写真では、様々な対象を撮影することが要求されます。そのために、基本的な表現技術を修得することはもちろんのこと、常に新しい視覚を作り出せる力を養うことを目標とします。
広告業務全般を考察し、広告制作における映像表現の基本をマスターします。撮影の目的を理解し、作品を撮ることの楽しさを体感しながら、こしらえる事への情熱を作品に定着させる力を養います。
主に、内外のドキュメンタリーフォトの昨今を追いながら、現代の出版界の事情、未来展望を考えて、講義します。
ポートレートの意味を考えながら、人物写真を撮る時に必要なスキル(ライティング、構図、ポーズ、演出方法など)を身につけていきます。一人ひとりが個性を伸ばしながら自分の世界を追求し、表現できるようにする事を目的とします。
建築写真とは、いわゆる竣工・完成・記録写真といわれているものが一般的でしたが、建築物を被写体とした造形写真や建築群が主体となる風景写真、生活感あふれる都市景観写真、建築を主題とした風俗写真なども建築写真として広域に考えてもいいでしょう。アナログ写真撮影の歴史や基礎的な技術を学ぶとともに、デジタル写真の技法を習得し、最終的には近代建築から古建築まで幅広く建築物を被写体とした作品作りを進め、発表できるまでにすることを目標にします。
近年、一眼レフカメラによる動画撮影とファイルベースによる映像制作が急増 しています。これに伴い、映像の世界でも活躍するフォトグラファーが求められています。一眼レフ動画撮影に必要な知識と技術を習得し、優れた写真表現と映像表現を両立できる力を養います。
●写真表現研究
広告写真、報道写真、ポートレート、建築写真、DSLRムービーなどの実習科目で構成しています。
「ひとの心を動かす広告写真」を考える。 何にもとらわれず、自由な発想で考察していく授業。 広告制作の現場を紹介しながらの講義、テーマを設定したディスカッション、 広告写真を創るプロフェッショナルの講義などを行う。
新聞写真には約100年の歴史があり、写真に対する価値観を定着させた一つの媒体と言って良い。日々の技術革新により取材現場では過去には考えられない別の苦労がある。撮影から送稿、紙面掲載まで何が求められるようになったのか。紙面だけではなく、ジャーナリズムが抱える問題をえぐり出し、時代を記録し、記憶させる新聞写真について学ぶ。
写真家にとって、作品制作と同様に編集は非常に重要なプロセスである。作品発表の形態は空間における作品展示や写真集、ウェブサイトなど多岐にわたるが、そこには常に編集作業が介在する。写真編集の日本や海外の事例を理解しながら、写真編集を実践的に身につけることを目標とする。
表現のテーマが大きな物語から小さな物語へシフトして久しい。そんな現代においての写真表現はどうあるべきか。
写真家が取り組むべきテーマの構造分析、その根本について学ぶ。
写真は近代市民社会という状況に生まれ、その中に生き、かつその状況をつくってきた。写真はイメージレポーターとして、イメージハンターとして、市民社会と共に歩み、常にイメージ表現をリードしてきた。しかし、いま、ポストモダン状況下にあって、はたまた超ポストモダン状でもあり、写真表現も転換を余儀なくされている。写真は今日的状況にどう立ち向かうか。真のイメージクリエーターとしての写真の可能性を現代文化の状況の中で追求する。
文化財写真とは、資料保存を目的とするだけでなく、歴史学、民俗学、美術史、建築史など様々な分野の研究資源として存在する。その利用は数十年から百年超と長期におよび、写真の本質である記録性と深く結びつく。写真を文化財の調査研究に導入した明治期以降の日本の学界にとって、写真技術の変遷は学問の質と切り離すことができない関係にある。文化財写真の歴史と現状を学び、次世代へと継承するために求められる写真技術と画像データの条件や管理の基礎と理念を習得する。
●特別講座
報道、広告、写真作家、作家研究などそれぞれの分野で活躍してきた講師から話を聞き、自分の可能性を見出し、将来の進方向を決める一つの参考にしてもらう。
毎週異なる写真家・写真に関する仕事をしている方を招くオムニバス授業。
多様な写真家および写真に関係する仕事をしている方の写真観を知る。
これらの授業のほかにも、業界の第一線で活躍しているフォトグラファーやクリエイター、プロデューサーなどを招いた特別序業を行なっています。
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