森上元貴「香港2019」2020年度芸術学部長賞
[作者]
森上元貴
[作品]
「香港2019」
[作者コメント]
香港は国家に拘束されない自由な空間が広がり、それが”香港”のアイデンティティを形成していた。
しかし、2019年、香港の自由は失われ、国家による統制が強まった。
これは”香港人”の抵抗の物語である。
香港曾經有國家不干涉的自由空間,形成了”香港”的身份認同。
不過,在2019年,香港失去了自由,國家加強了控制。
這是”香港人”的抵抗故事。
[受賞]
2020年度芸術学部長賞
佐藤大青「crescendo」2020年度芸術学部長賞
[作者]
佐藤大青
[作品]
「crescendo」
[作者コメント]
人間の手によって作り出され、人間によって捨てられた鉄路とそこに根付く自然。
人間のエゴと自然の力強さ。対立する二つが織りなす景色は美しく、どこか恐怖を覚えるものだった。
だんだん強く元の姿に戻ろうとする地球の片鱗の風景。その風景が見つめる先は過去か未来か、向かう先は希望か滅亡か。
[受賞]
2020年度芸術学部長賞
養田純奈「ふたたび」2020年度芸術学部長賞
[作者]
養田純奈
[作品]
「ふたたび」
[作者コメント]
生きていく上で人間だけが廃棄物を出して自然を汚染している昨今、自分たちの未来や自然を苦しめないためにも”ゴミをどう処理するか"ではなく"ゴミ自体を出さない"という考え方で私たちも意識して取り組まなくてはならないでしょう。この作品によって、徳島県上勝町で行われている活動に興味を持ったり、日常でゴミを少しでも減らしたりするきっかけになると嬉しいです。
[受賞]
2020年度芸術学部長賞
栗原朗「煌跡」2020年度芸術学部長賞
[作者]
栗原朗
[作品]
「煌跡」
[作者コメント]
生活の温もりに溢れるともしび、鐡路の中にある嫋やかな光、季節の色に瞬く輝き。
誰しもが日常で何気なく利用する鉄道。
彼らにはそれぞれの意図があり、もう二度と同じ瞬間は訪れない。
鉄道の中にある かけがえのない光を辿って。
[受賞]
2020年度芸術学部長賞
田原 敦「目下」2020年度芸術学部長賞
[作者]
田原 敦
[作品]
「目下」
[作者コメント]
地元をテーマに4年の歳月をか掛け撮影する。
20年間住んでいる地元の見慣れた景色もカメラという目を通せば新たな発見ができ、
地元の素晴らしき「今!」という瞬間も、撮ったということは過去になっても、
プリント1枚1枚にそれぞれの「今」が確実に残り続ける。
これからも新しい発見をカメラと共にしていく。
[受賞]
2020年度芸術学部長賞
金鎰均「No20」2020年度金丸重嶺賞
[作者]
金鎰均
[作品]
「No20」
[作者コメント]
CHANELの化粧品の形や色などを意識して広告写真を制作しました。
[受賞]
2020年度金丸重嶺賞
窪田有希「最速を求めて」2020年度金丸重嶺賞
[作者]
窪田有希
[作品]
「最速を求めて」
[作者コメント]
天候によって目まぐるしく変化する路面のコンディションや、タイヤの摩耗、ドライバー自身の精神的な部分での戦いなど、様々な難しい要素を乗り越え速さを極めていくドライバーとフォーミュラマシンの姿は、格好良くもあり美しい。 フォーミュラマシンとドライバーは最速を目指し走り続ける。
[受賞]
2020年度金丸重嶺賞
濱原沙也佳「Teganuma:landscape in silver」2020年度金丸重嶺賞
[作者]
濱原沙也佳
[作品]
「Teganuma:landscape in silver」
[作者コメント]
千葉県北西部に位置する手賀沼を撮影し、約180年前タルボットにより発明された塩化銀紙に焼き付けました。
金調色処理を行うことにより、色調を変化させ、写真の保存性を高めています。
4年間で学んだこと、そして4年間通い続けた手賀沼を”私の写真”としてまとめたい気持ちがありました。
写真が新しい時代に移行しても、ものとしての美しさ、存在感を表現できるよう。
また、時代が変化し続けても美しい手賀沼であって欲しいという祈りを込めました。
[受賞]
2020年度金丸重嶺賞
樋口諒平「The Border」2020年度金丸重嶺賞
[作者]
樋口諒平
[作品]
「The Border」
[作者コメント]
ずっと憧れだった世界を覗き込んだ
そこにある全てを必死に捉えようとした
ただ、彼らの世界で常に感じていたこと
それは、自分自身はそこにいるべきではないということ
彼らと僕の境界はどこにあるんだろう
種、大きさ、かたち、環境、コミュニケーション
一体何が決定因子となって境界を、隔たりを生むのだろう
[受賞]
2020年度金丸重嶺賞
利川萌々「皴を辿る」2020年度芸術学部奨励賞
[作者]
利川萌々
[作品]
「皴を辿る」
[作者コメント]
―――2020年
新型コロナウイルスによるパンデミックは、人類の歴史にとっても、また私の人生の節目としても象徴する出来事となった。
ウイルスという視覚的には「見えないもの」の脅威を知り、それは人間の生活が変わるほど大きなものだった。
私は4年間、写真にある視覚情報以外の存在、そこに内在している時間や祈り、そして写真と向き合う「私」の痕跡をテーマに針と糸で隠喩的に表現を続けた。
写真のイメージを縫うことでできる痕跡は、「見えないもの」の存在をより強く象徴させた。
2020年 4月 東京に緊急事態宣言が発出された。
街に人はいなくなり、ネット上で顔をあわせるだけの友人。生身の人間と接するのは家族のみ。
私は家という囲まれた空間で長い時間を過ごした家族の、そしてそこに属する私の「見えないもの」について考えることにした。
家族という衣服を脱いだ時、目に見える皮膚の皴(しわ)を形成する、一つ一つの細胞の「情報」はわたしたちを組織として再認識させる。
身体(トルソー)に纏う赤い糸は個人が纏う遺伝子情報、それらを身体中に運ぶ「毛細血管」を想起させる。
つぎにわたしはリビングに飾られた家族写真をみる。
家族写真は、フォーマットを用いれば他人でも成立してしまうような気がした。
錯覚しながら認識する演者のように、わたしたちは写真の中で家族を演じたように見えた。
私自身も写真のなかに入り、演じた家族写真をプロトタイプとし、様々な形に変え、家族という組織について今一度考えた。
認識や錯覚が交錯していく人間同士の血のつながりは、写真にはうつらない。目には見えない家族写真を私は模索する。
写真に写る家族一人一人の、手のひらの皴を写真に落とし込んだ。
縫うという行為には、私と写真が向き合い、そして私と家族が向き合う時間でもあった。
皴(しわ)には、今は見えない人影や時間を感じとることができる。
それを私は再び触れて、懐かしく思う。
[受賞]2020年度芸術学部奨励賞