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2017年度卒業制作優秀作品

 

田中伽奈「ソフィ・カル論-コミュニケーションの手段としての写真」2017年度芸術学部奨励賞

[作者]

田中伽奈

[作品]

「ソフィ・カル論-コミュニケーションの手段としての写真」

[解説]

フランスの現代美術作家ソフィ・カルの作品について、その全体像の理解を試みた論文である。カルはなぜ作品に写真を使うのかという疑問から写真を軸にして、作品のコミュニケーション性、窃視性について考察している。丹念な先行研究に対する事前調査、論理的な展開、結論のみならず各章で独自の見解を提示できていることも評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部奨励賞

 

 

南波遼平「そこにいた「美」」2017年度芸術学部金丸重嶺賞

[作者]

南波遼平

[作品]

「そこにいた「美」」

[解説]

接写により昆虫の世界を捉えた作品である。ストロボ照明によって明瞭に照らし出された昆虫は、妖しいまでの美しい色彩と形態として表現されている。複数のストロボを使用する撮影を試みており、微細な振動によって逃げ出すことの多い被写体に対して、非常に難易度が高い撮影手法を用いている。作者の強いこだわりと忍耐、技術力が評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部金丸重嶺賞

 

 

田代夏子「modern people」2017年度芸術学部金丸重嶺賞

[作者]

田代夏子

[作品]

「modern people」

[解説]

現代の人々がスマートフォンによって世界や人々と繋がる一方、現実では孤独になっているようにも見える。人間がスマートフォンに支配されつつあるのではないか、という現代のテクノロジー社会と人間関係の在り方をテーマとした演出作品。現代社会をしっかりと見据えた骨太なテーマ設定、演出技術、作品構成が優れていると評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部金丸重嶺賞

 

 

植田千晶「ここに生きている」2017年度芸術学部金丸重嶺賞

[作者]

植田千晶

[作品]

「ここに生きている」

[解説]

父の癌と正面から向き合い、看取り、残された母の姿を記録している。冷静な眼で入院生活を見つめ、記念写真や遺品が感情移入せずに淡々と撮影されている。冷徹ともいえる眼が却って父親に対する作者の愛情を訴えかけている。父の生命が尽きていく現実、そして生きた証を克明に記録し、見事なフォトストーリーに仕上げた作品として評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部金丸重嶺賞

 

 

渡邊崚生「残影 −足尾・別子の今−」2017年度芸術学部長賞受賞作品

[作者]

渡邊崚生

[作品]

「残影 −足尾・別子の今−」

[解説]

日本の東西を代表する2つの銅山の現状を取材した作品である。大型カメラを使用し丹念に記録し、丁寧にプリントされた作品は美しく、黒白の表現に対する作者の強いこだわりが感じられる優れたドキュメントである。普遍的な自然の中で、朽ち果て行く銅山跡に当時の痕跡や様式美を探り、先人達の想いを読み解こうとしていると評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部長賞

 

 

真壁敦史「Breath of the Earth」2017年度芸術学部長賞受賞作品

[作者]

真壁敦史

[作品]

「Breath of the Earth」

[解説]

地球の織りなすダイナミックな自然現象、壮大な世界を表現した作品である。困難な撮影条件においてもデジタル技術を縦横に活用し、作者独自の世界として作品を構築し表現している。特に夜景では、通常人間が認識出来ない場面を、あたかも“普通”のように表現している。“美しい”そのひと言が全てを象徴している作品として評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部長賞

 

 

下山真輝「japaneses skate/border」2017年度芸術学部長賞受賞作品

[作者]

下山真輝

[作品]

「japaneses skate/border」

[解説]

作者が入学当初から撮影しているスケートボーダー14名を被写体としている。個性豊かで完成度の高いポートレートと効果的なイメージ写真および丹念に取材したテキストによって構成されている。五輪種目決定に伴い関心が高まる一方、ストリート性が失われるのではないかという懸念について、巧みな写真技術を駆使して表現していると評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部長賞

 

 

金成津「01」2017年度芸術学部長賞受賞作品

[作者]

金成津

[作品]

「01」

[解説]

急速なテクノロジーの進歩に対する嫌悪感と終末を予感させ、人工知能の存在価値や、「人間とは何か」という問いを含んだデカダンスな世界観を見事に描き出している。制作構想からロボットの製作、合成を行わないことにこだわったロケによる実写、緻密なプリントまで、イメージの具現化に真摯に取り組んだ姿勢および結果が評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部長賞

 

 

薄井悠介「composition_ “もしくは、無作為と作為と忘却”」2017年度芸術学部長賞受賞作品

[作者]

薄井悠介

[作品]

「composition_ “もしくは、無作為と作為と忘却”」

[解説]

日常の中から様々な対象を探し出し、平面的に構成し、現実とはかけ離れた新たな世界を創造している。現代抽象絵画にも通ずるが、あくまで写真であり、撮影場所と時間の明示も写真の記録性を示している。ありふれた景色は、作者の写真となることで古代の地形図や遺伝子パターンとして表出する。その着眼点と発想力、卓越した構成力が評価された。

[受賞]

2017年度芸術学部長賞