大日方詩梨花「僕らが海峡を渡る時」2016年度金丸重嶺賞受賞作品
[作者]
大日方詩梨花
[作品]
「僕らが海峡を渡る時」
[解説]
ネガポジ反転の画像と海を組み合わせて1枚とした作品で制作された。個人的動機から、社会背景に対して社会意識や他者意識を成長させ、我々の生活の中にある差別や区別という心理的な海峡を表現することを目指したものである。 写真表現におけるコミュニケーションの観点を深く考察した印象深い作品として評価された。
[受賞]
2016年度金丸重嶺賞
雪森るな(村井るな)「揺蕩」2016年度芸術学部奨励賞受賞作品
[作者]
雪森るな(村井るな)
[作品]
「揺蕩」
[解説]
女性の心の揺れ動き漂う様相を表現した作品である。 風景や人物を素材にして、それらを合成することにより現実的のみならず非現実な世界を作り上げた。 心象的で想像力豊かな作品である。 心理描写として一つ一つの完成度が高くかつ合成技術も非常に優れており、内容と技術の両面から優れた作品と評価された。
[受賞]
2016年度芸術学部奨励賞
澤田康平「被災国道 今そこにある危機」2016年度金丸重嶺賞受賞作品
[作者]
澤田康平
[作品]
「被災国道 今そこにある危機」
[解説]
多様な災害で被災、崩落した国道を記録的に捉えた作品である。完成した道路は変わらないという常識を覆す写真である。 全国に張り巡らされ、生活に密着した国道の崩壊は日本の自然環境や災害の厳しさを直視させられる。 1年以上にわたる取材の努力、制作課程の技術の確かさ、さらに滅びの美学が現出されていると評価された。
[受賞]
2016年度金丸重嶺賞
飯山福子「in the mood」2016年度金丸重嶺賞受賞作品
[作者]
飯山福子
[作品]
「in the mood」
[解説]
プロのダンサーとして生きる一人の女性の鍛えられた体を通して美しさ、強さ、儚さ、危うさ、繊細さを表現した作品である。ライティング、背景や小道具を駆使して自分のイメージを表出している。 トーンの明暗もよく、ストーリー的にも巧くまとめ、一瞬の美しさと共に力強さ、迫力をも表現していると評価された。
[受賞]
2016年度金丸重嶺賞
本永創太「青の肖像」2016年度芸術学部長賞受賞作品
[作者]
本永創太
[作品]
「青の肖像」
[解説]
高校時代からの友人であるテニスプレイヤーに1年以上にわたり密着したドキュメントである。 コート内のプレイのみならず私生活にまで踏み込んで撮影し、一貫してやり抜く内面の力を表現することを目指したものである。 友人の真摯な姿に対峙することで自らをも見つめ直した撮影者自身の思いも投影された優れた作品である。
[受賞]
2016年度芸術学部長賞
小田倉璃菜「容」2016年度芸術学部長賞受賞作品
[作者]
小田倉璃菜
[作品]
「容」
[解説]
人間が生きるとは何か、顔の存在とは何かを考察した結果の作品である。 年齢、性別の異なる多様な人物を一定の光と距離感で無表情な顔と右手を表面から撮影し、2枚一組にしている。 それらを並列させ、人相と手相のみを通してその人物の人となりを想像させ、個性を見つけ出させるものである。 独特な素晴らしい作品として評価された。
[受賞]
2016年度芸術学部長賞
渡部直樹「それぞれの『戦争』」2016年度芸術学部長賞受賞作品
[作者]
渡部直樹
[作品]
「それぞれの『戦争』」
[解説]
祖母から聞いた戦争体験が作者の制作動機となり、20回以上広島に通い、「戦争の記憶」ボランティアアシスタントをしながら制作した。歴史書に綴られない草の根の人々が語った戦争体験により、「それぞれの『戦争』」を言葉とポートレート写真を組み合わせることで描き出した優れた作品として評価された。
[受賞]
2016年度年芸術学部長賞
石田健「TOMORROW WORLD」2016年度芸術学部長賞受賞作品
[作者]
石田健
[作品]
「TOMORROW WORLD」
[解説]
自身のイメージにあう風景や人物を実写した素材をもとに、高い合成技術により制作された作品である。 無限に広がる土地と永遠に続く時間の中に存在する人間の死や滅亡を超えて、過去や未来という時間的要素を超越した存在を仮定することで、永遠とそれによりもたらされる孤独を表現している。独自の世界観に基づいた作品として評価された。
[受賞]
2016年度芸術学部長賞
池上功一「Taking Shape with Body」2016年度芸術学部長賞受賞作品
[作者]
池上功一
[作品]
「Taking Shape with Body」
[解説]
男性の全身を腕、脚、背中、胸、腹、知りといくつにも解体し、各部を注視し、出現する形、力、日を抽出した作品である。 それにより美のみならず醜も見られるが、その対比が双方を際立たせている。作品制作のために、過去の作品を調査し、己の作品に活かせる表現を研究した姿勢も好ましい。作者固有の世界観を表現したと評価された。
[受賞]
2016年度芸術学部長賞